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山田勇男

ヤマヴィカ映画史13


(写真:リヨン 夜のローヌ川(2015年12月))

三度目の正直という云い草がある。

前近代的だといわれながらも、相変わらず8ミリフィルムで撮っている。

青いセンチメンタリズムかも知れぬ。

フィルムの死が先か、「私」の死が先か、という状況にある。

ここ、ドイツにおいてもフィルムの現像所はベルリンに一カ所あるだけ。

しかし、昨年の秋にはカラー現像がなくなり、紹介されたオランダでは、

現像から発送までたったひとりの現像所である。

フィルム代も莫迦値だ。

もう終わりだと諦めながらも、とりあえずの情熱はどこか。

そこには「あきらめの意地」があるだけか。

嗚呼、戀しひフィルム!!!

さて、そんな今、何を撮るべきかと巡らしているうちに、

映画を辿る旅から、「私」の映画史を辿ってもいいのではないかと思った。

先ずは、リュミエール兄弟の映画の聖地でもあるリヨンの町をたずねた。

ところが、廻したフィルムは音だけで、フィルムが廻っていないことに気がづいた。

廻り続けているものだから、えッ?まだ?、と

フタをあけてチェックしても撮り終った表示がない。

フィルムに印を付けて廻したら、なんと廻っていない。

クラッ、ときて、近くのベンチに座り込んだまま、しばらく立ち上がれなかった。

出端がくじかれる思いとはこのことか。

つくづく、「精神」が試されているな、と半泣き、諦め、

苦渋の影がローヌ川沿いのベンチに落ちた。

★(続)


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